ALC探訪

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大型物流倉庫の増加

 インターネット通販に代表されるeコマース市場の拡⼤が続くなか、幹線道路沿線などのエリアで物流倉庫の建設が盛んです。マルチテナント賃貸型、⼤型化が主流で、こうした物流倉庫にもALCパネルが使われています。

■倉庫での採用は増加傾向

 ALCパネルは、倉庫にどのくらい使⽤されているのでしょうか。右のグラフは、三つの観点からALCパネルが採⽤されている倉庫物件の割合を⽰したものです。
 その推移を⾒ると、鉄⾻造の着⼯床⾯積合計は、倉庫物件に関しては横ばい・微増となっています。倉庫物件の割合増と相まって鉄⾻造の外壁、間仕切壁などに使⽤されるALCパネルも、割合が増加しています。

倉庫物件の割合推移(2018年度を100とした場合)

■厳しい倉庫の設置基準

 倉庫はいくつかの種類に細分化され、それぞれ保管できる物品も異なります。その中で第三者から荷物を預かり、物流業務などを⾏うのが「営業倉庫」です。その設置基準は「倉庫業法」、「建築基準法」、「消防法」、「都市計画法」によって細かく規定されています。

倉庫の種類

■特有の構造が求める性能

 建物としての倉庫は、荷積み、荷下ろしのための⼤きな開⼝部以外、保管する物品を温度変化や⽇焼けから守るため、窓や開⼝部がきわめて少ない構造がほとんどです。物流倉庫には物品を保管するための内部環境を維持する性能が求められます。

ALCパネルを使った物流倉庫:茨城県稲敷郡 

2,500N/㎡の規定をクリア

 「倉庫業法」では1類〜3類倉庫等の軸組み、外壁または荷ずりは、2,500N/㎡以上の荷重に耐える強度が必要と定められています。
 内部に補強材を組み⼊れたALCパネルの強度はこの条件を満たすもので、物流倉庫では主に外壁、間仕切壁に使⽤されています。荷崩れなどが起きた場合でも、外壁の損傷を最⼩限に抑えることが可能です。

大型倉庫の取付け構法

防火・耐火

 構造に起因する問題のひとつが⽕災です。万⼀発⽣した場合には、開⼝部の少なさが消⽕活動の妨げともなりかねません。そのため、設置条件が最も厳しい「1類倉庫」では、防・耐⽕の基準や⽕災予防の設備などが厳しく定められています。
 ALCパネルは不燃材料で、耐⽕構造の仕様や認定を受けています。すべて無機質な原料から作られるれるため、⽕災時にも有毒なガスや煙を出すことはありません。

断 熱

倉庫内部は床⾯積を広く、天井を⾼く設計することが多いため、空調設備の効率が低下しやすい傾向にあります。その分、熱・湿度がこもりやすく、最も懸念されるのが結露です。そのまま放置すれば、荷物によってはカビ、サビ、シミなどが発⽣するおそれがあります。

 断熱効果に優れたALCパネルは庫内の結露を防ぎます。鍵となるのはパネル⾃体の多孔質の構造です。無数の気泡を含むこの材質が、コンクリートの約10倍の断熱性能を発揮します。 これによって、ALCパネルは庫内環境を安定的に維持し、しかも空調機器などのランニングコストの低減をもたらします。 

多孔質 porous

遮 音

 物流倉庫の⼤きな要件の⼀つは遮⾳です。住宅地に近接しているなど、⽴地によっては、庫内作業の騒⾳にも対策を講じなければならない場合があります。多孔質の空気層は遮⾳にも⼤きな効果を発揮します。

ALCパネルを使った物流倉庫:愛知県小牧市 

物流の要

 ALCパネルは主な性能に加え、独⾃の取付け構法による耐震性(変形追従性)、軽量、⼯期の短縮の効 果などトータルなメリットを備えています。これが物流倉庫建築におけるALCパネルの強みです。
 物量倉庫の増加は、「2024年問題」への対応や商品納期短縮を図るための拠点分散もその要因としてあげられています。ALCパネルは物流の分野でも重要な役割を担い続けます。 

編集後記

 ある⽇の仕事帰り、⾃分へのご褒美を⾔い訳に⽴ち寄った馴染みの居酒屋。そこでの 出来事です。
 いつものように喉を潤していると、カウンター隣席の三⼈組の話し声が⽿に⼊ってきました。どうやら、建設関連の設計・施⼯での苦労話のようでした。とぎれとぎれに聞こえたのは、前⼯程がズレ込んできている…とか、職⼈さんのやりくりが難しい…とか。それを聞いて、ALC業界もたくさんの⽅々に⽀えられていることを再認識し、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
 当協会は、これからも地道な広報活動を続け、ALC製品の特性を正しくお伝えしてまいります。ALCパネルを巡る様々なテーマにスポットを当てた「ALC探訪」もよろしくお願いします。

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